透析液が /スズキユミ
母が4月から腹膜透析をしているのですが、二日くらい前から排出した透析液が白く濁っているというので病院にも行ったのですが、検査の結果は細菌が入っているということもなく、先生も原因がわからないとの事。それでも液の濁りは変わらず不安がっております。 他に症状はないのですが、こういうことはあることなのでしょうか?
回答 /白石病院CAPD担当ナース |
排液の白濁は腹膜炎だけでなく、アレルギー反応や乳びなどによって起きます。 腹膜炎の定義ですが 1)腹痛 2)白血球の増加(白血球>100m?でその50%以上が好中球)を伴う排液混濁 3)グラム染色または培養による起因菌の検出 この3項目のうち2つ以上が存在する、とされています。 腹膜炎かどうかを判別するには、排液の沈査で2)にあるような白血球が増えているかどうかを調べていただくのが最も早いといえます。排液のなかに”細菌が入っていることもなく”とのことですが、排液からの菌の培養は結果がでるのに時間がかかりますし、陰性だからといって腹膜炎を否定できるかといえばそうでもなく、症状は明らかに腹膜炎でも原因菌を同定できず治療に難渋するケースもあります。 では腹膜炎ではないとして、今年?4月に導入されたとすれば約半年経っていることになりますので好酸球性腹膜炎は考えにくいでしょう。これは導入してまもなくカテーテルの滅菌や透析液バッグから溶出する可塑剤など様々な原因でアレルギー反応をおこすことによるといわれています。白血球には種類があって細菌感染などでは好中球が、アレルギー反応では好酸球が増えます。血液でも排液でも同様のことがおこるため2)で50%以上が好中球と規定しているのはそのためです。好酸球性腹膜炎であれば、抗生剤の投与はせず自然に軽快するのを待ちます。 乳びとはリンパ管から脂肪成分が排液に混じって白濁をきたす場合をそう呼んでいます。降圧剤の塩酸マニジピンを内服すると排液が白濁することがあります。当院でもこの仲間の薬で経験があります。血圧を下げるため末梢の血管を拡張させるはたらきがリンパ管も拡張して脂肪成分が混じるためのようです。脂肪の多い食事の摂取で起きるかたもいらっしゃいます。当院でグラタンを食べると白濁する患者さんがおりました。また肝硬変を合併しているかたの乳び腹水の漏出も報告があります。乳びによる排液の白濁それ自体は治療の必要はありませんが、腹膜炎との鑑別が必要です。腹膜炎で排液が濁っているのに”いつものこと”と放置し治療の開始が遅れることが危険なのです。内服薬が疑われる場合は一旦中止したり別の薬に換えていただくようにしています。
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