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ドライウェイトについて /ごろう 

初めて投稿します。次回透析日までの間が、中2日で5%、中1日で3%までが増えてきてもいい体重とよく本や資料には載っていますが、4%でも6%でも普通に透析をしても異常のない患者さんはたくさんいます。なぜ、3%と5%と定めているのか、その理由を教えていただけませんか?よろしくお願いします

回答 /白石病院透析室臨床工学技士

日本透析医学会統計資料によれば、透析間体液貯留量の予後に対する影響を「生存率」と「透析前後の体重差」の関係から6年生存率でみると、4.0〜6.0%体重増加群の死亡のリスクは、2.0〜4.0%体重増加群に比べて、わずかではありますが高くなっています。これはわずかな体重増加が中長期的な予後に影響することを意味しています。したがって、これがドライウェイトの3%、許容範囲を5%と言われる1つの理由になります。
ではなぜリスクが高くなるのか、もう少し具体的な話をします。日本人の3大死亡原因は、1位が癌、2位が心疾患、3位が脳血管疾患で、心疾患は癌の半分ぐらいです。しかし透析患者さんの死亡原因は心疾患が1位です。心疾患は透析患者さんにとって注意すべき重要な合併症の一つです。
腎機能が低下すると、身体の中の余分な水分を排泄できなくなります。水分が身体に貯まると血管内の血液量の増加が起こり、血圧の上昇を招き、心臓が肥大し、心臓血管系に負担をかけ心不全などの合併症の原因となります。また透析患者さんが日頃水分を取りすぎた場合、透析中の除水量を増やすことになります。除水量が多すぎれば、細胞から血管内へ移行する水分の速度が追いつかなくなり、透析困難症と言われる下肢つりや血圧低下が起こることがあります。このときに起こる血圧低下も心不全などを引き起こす合併症の原因となります。
したがって、長期にわたり水分管理がうまくできていなければ、心臓の老化を早めることになります。現在3%や5%という数字を上回り透析中に異常がでなかったとしても、長期的な心臓への負担を考えると、この数字内での水分管理が必要だと考えられます。