低血糖 /あやな
なぜ、低血糖って起こるんですか?患者さんに説明できる程度の知識がなくて投稿しました。教えてください。
回答 /白石病院透析室看護師 |
健康な人の血糖値は、食事の有無に関わらず、ほぼ60〜160mgに保たれています。血糖の恒常性に関与するものとして、インスリンやグルカゴンなどのホルモン因子,交感および副交感神経などの神経性因子および肝臓の機能などがあります。これらの働きがアンバランスになったときに血糖の恒常性を保てなくなります。また、低血糖になる病態としては、膵臓のランゲルハンス島β細胞の腫瘍によりインスリンが過剰に分泌されるインスリノーマや胃切除後に代表される食後性低血糖症および治療中の糖尿病などがあります。 糖尿病は、インスリンの量や作用が不足して高血糖状態が続く病気です。糖尿病の薬物療法として飲み薬とインスリン注射の二通りがあります。飲み薬のスルホニル尿素剤(SU剤)は膵臓のインスリン分泌力を強力に強め、インスリン注射は不足しているインスリンを体外から補うことで血糖をコントロールするものです。人体が必要とするインスリンの量は常に一定しているわけではなく食事の量や間隔,運動量などによって変わることから、薬物療法では生活のリズムの微妙な変化に対応出来ずときに薬物が必要以上に効き過ぎて低血糖となることがあります。また、糖尿病では血糖値を上げる力も不足しています。特に?型糖尿病の患者さんは血糖値を上げる作用のある拮抗ホルモン(グルカゴン,エピネフリンなど)の分泌能力が低下していることもあげられます。 したがって、低血糖は糖尿病の薬物療法中に最も高頻度にみられる急性合併症で、症状の有無に関わらず血糖値が50mg/dl以下をいいます。 <糖尿病はこんな時に低血糖になりやすい> 1.食事の不足 ・食事の時間が普段より遅れた時 ・食事を摂らなかった時、または食事量が普段より少なかった時 ・食欲低下や下痢のある時 など 2.運動の過剰 ・ 過剰な運動をした後 ・ 空腹時に運動した時 ・ 特別な運動をした夜間(遅発性低血糖) など 3.インスリンの過量投与 ・ 不適切に量を変更した時 ・ 入浴などでインスリンの吸収が促進された時 ・ 自己注射手技を誤った時 など 4.その他 ・ 他の薬剤との併用(SU剤 + β遮断薬/アルコール/抗不整脈薬/抗高脂血症薬 など) ・ シックデイ(糖尿病以外の病気、風邪などの急性感染症や腹痛・下痢などの急性消化器疾患・外傷など)で血糖値の変動が大きくなりがちな日 ・ 透析後 など
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