header
  このページでは、血液透析について の質問を専門にお答えします。
下のフォームをお書き込みの上、送信してください。
  
[ これまでの質問内容 ]
特定の医院・医師などの中傷については、事前の断りなく削除する場合があります。ご了承ください。
また、半角カタカナはご利用になれませんのでご了承ください。


透析前後のCa・Pについて /臨床化学検査勉強中 

初めてメールいたします。
私は、日常臨床化学検査を行っている検査技師です。
人工透析について無知なもので教えていただきたいのですが、人工透析を行った患者様の血中Ca・Pは、透析前後でCaは増加、Pは低下すると文献等では書かれておりますが、私の知人は透析前後でCa・P共に増加する例を何例か体験しておりその理由については良く分からないとのことでした。
このような現象がおこる原因についてご教授いただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。

回答 /白石病院透析担当医

まず、一般的な血液透析の原理は拡散によるものです。水溶液中で溶質濃度に分布がある場合、溶質は濃度の高い方から低い方へと移動します。従いまして、透析では透析膜を介して、血液と透析液の間でのCaイオン、Pイオンの濃度差でCa・Pが移動することになります。
現在使われている透析液のCa・P濃度は3タイプあります。それによって透析前後のCa・Pの値が変動してくるわけです。例えばCa 10mg/dlであればCaイオンは約2.5mEq/lですので、Ca濃度3.0mEq/lの透析液では透析後のCa濃度は上昇しますが、Ca濃度2.5mEq/lの透析液ではCa濃度は上昇しないことになります。P濃度に関しては、透析液にPは含まれていないので、透析後はP濃度がほとんどすべてで低下すると思われます。透析後、もしP濃度が上昇することがあるとしたら、除水による血管内脱水により濃縮されてPの上昇があるかもしれませんが、今まであまり経験ないように思われます。いずれにしても、透析前のCa・P濃度、透析液中のCa・Pによってある程度の方向性は決定していると思われます。