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除水時の透析液圧と静脈圧の表示について /ハゲ丸 

透析の除水について質問したいのですが、NIPRO−NOU8という透析装置を使っていて、透析液圧の表示が140、静脈圧の表示が60となっています。透析液圧のほうが高いのに除水できるのはなぜですか?よろしくお願い済ます。

回答 /ニプロ株式会社

除水はダイアライザーの内部で限外ろ過圧(つまり圧力の差)をコントロールすることによって行われます。
 このダイアライザーの膜にかかる圧力、すなわち血液側の圧力と透析液側の圧力差を一般的にTMPとしています。理論上、TMPが高いほど水分の膜透過量が多くなることから、除水速度(除水量/時間)をコントロールするうえでのデータとして活用しておりました。しかし、時代の流れと共に膜のポアサイズ(穴の大きさ)が大きくなり、微小なTMPでも水分移動が容易になることで、TMPによって除水を制御することが困難になりました。そこで、NIPROの装置ではTMP制御ではなく、密閉容量差で除水を制御しています。これは、ダイアライザーを含む密閉された回路の中から除水したい量だけ、透析液を回路の外に出すという考え方です。この方式であれば圧力制御ではなく、液量制御によって除水が制御されます。(圧力よりも液量のほうが細かい制御が可能です)この方式でも、もちろんダイアライザーの膜にはTMPがかかることになります。しかし、装置に表示されている透析液圧値は装置内のある1点(センサーがある位置)で測定した値、静脈圧値は血液回路の静脈ドリップチャンバーの位置で測定された値です。この表示値は実際のダイアライザー内の圧力ではありません。見かけ上、液圧のほうが静脈圧より高くても、ダイアライザーの膜では正しい圧力差が発生しているのです。
では、装置に表示される圧力から除水が正常におこなわれているか確認するためにはどのようにしたらよいでしょうか?装置には計算上導かれたTMP値が表示できるようになっています。TMP=(静脈圧−液圧)+TMPオフセット値 として算出されます。TMPオフセット値には、除水がされていない時にTMPが0になる値が入ります。これにより、除水動作をしていない時はTMPが0ですが、除水動作が開始して透析液圧が下がると、TMPの値が上昇します。これを従来のTMP制御と同様の指標として表示されています。