診療時間

白石病院

午前

9:00~12:30(受付 8:30~12:00)

午後

14:00~18:00(受付 13:30~17:00)

  • 土曜日午後は一部診療予約のみ
  • 日曜・祝祭日は休診になります
  • 急患の方はこの限りではありません

腹膜透析

診療科紹介

当科では、慢性腎不全の患者さんに対して 在宅で行える腹膜透析療法(Peritoneal Dialysis: PD) を提供しています。腹膜透析は、ご自身の腹膜をフィルターとして利用し、体内の老廃物や余分な水分を取り除く治療法です。

血液透析に比べて身体への負担が少なく、残存腎機能を保ちやすいという利点があり、患者さんの生活スタイルに合わせた柔軟な治療選択が可能です。

診療科の特徴

  • 体力的に血液透析が難しい方にも選択肢となります。高齢者にも適応します。
  • 必要に応じて血液透析や腎移植への移行も可能です。柔軟な治療移行ができます。
  • 在宅治療が可能であり、通院は月1~2回程度ですみ仕事と家庭生活が両立しやすいです。
  • 腎臓病内科医・看護師・その他多職種が連携し、カテーテル留置から在宅療養まで一貫してサポートします。
  • 訪問看護や地域医療機関と連携し、安心して在宅療養を続けられる体制を整えています。

診察・検査実績

2024年実績

  • 新規導入:14件(他院からのPDカテーテル留置術・導入依頼含む)
  • 外来フォロー患者:22名

診療日・診察時間

診療時間
9:00~12:30
(受付 8:30~12:00)
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14:00~18:00
(受付 13:00~17:00)
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腹膜透析(PD)とは

「腹膜透析=PD: Pertitoneal Dialysis」とは、お腹の中に透析液を流し込み、一定時間貯めておくことで体に不要な老廃物や余分な水分を、「腹膜」を通して血液から外に排出することで、血液をきれいにする治療方法です。

「腹膜」とは、肝臓や胃、小腸、大腸などを覆っている膜で、腹膜は全体に毛細血管が網の目状に走っています。 この腹膜をろ過フィルターのように利用します。

腹膜透析の手術

腹膜透析では透析液を体内に流し込むために、お腹にカテーテルと呼ばれるチューブを入れるための手術が必要です。

麻酔の方法

手術の際の麻酔法には全身麻酔・下半身麻酔(脊椎麻酔)・局所麻酔があります。当院では静脈麻酔と局所麻酔を合わせて行います。

手術の方法

おへその横あたりの高さの皮膚を切り(5〜10cm)、筋肉、腹膜を切開してカテーテルを入れます。カテーテル先端はおなかの一番深いところ(男性の場合膀胱直腸窩、女性の場合子宮直腸窩; 別名ダグラス窩)に入れる必要があります。

腹膜透析の治療方法

CAPD

  • CContinuous(連続的に)
  • AAmbulatory(携行可能な)
  • PPeritoneal(腹膜をつかった)
  • DDialysis(透析)

CAPD(持続携行式腹膜透析)の場合、朝昼晩、寝る前と毎日4回程度透析を行います。透析液を点滴の要領で体内に注入し一定時間貯めることにより血液の中の不純物を排出していきます。透析をしている間は自由に過ごすことが可能です。透析液が入ったバッグの交換は自ら行います。

APD

  • AAutomated(自動)
  • PPeritoneal(腹膜をつかった)
  • DDialysis(透析)

APD(自動腹膜透析)の場合、毎日1回、一回につき78時間ほどの透析を行います。機械が自動でバッグ交換を行いますので、交換の手間はありません。主に治療は睡眠中に行いますが、日中に行うことも可能です。透析をしている間は ご自宅で自由に過ごすことが可能です。

ハイブリッド

腹膜透析と血液透析を併用する「ハイブリット」と呼ばれる方法があります。腹膜透析が長期になると腹膜機能が低下して透析不足になる可能性があります。そうすると体内の老廃物や過剰な水分が十分に排出できなくなります。そこで腹膜透析と血液透析併用することで、透析不足が解消できるのです。併用療法は腹膜透析を週に5回行って、血液透析を週1回、残りの1日は何もしないという方法が一般的です。

血液透析(HD) 腹膜透析(PD 併用療法(PD/HD)
治療場所 医療機闃 自宅、職場など 医療機関、自宅、職場など
通院回数 週3回 月1~2回 週1回
実施回数 週3回 ほぼ毎日 PD:週5回程度
HD:週1回
治療にとられる時間 4時間/週3回 CAPD:1日4回
各30分/毎回
or
APD:1日1回
数時間/毎日
CAPD:(注排液)
各30分/週5回
or
APD:1日1回
数時間✕週5回
HD:4時間/週1回
手術 シャント作成術 カテーテル挿入術 両方
透析実施者 医療機関スタッフ 愚者、家族、訪問看護師 PD:患者、家族、訪問看護師
HD:医療機関スタッフ
残存腎機能保護効果 効果が少ない 効果あり 効果あり
心血管への負担 大きい 小さい 小さい
合併症の可能性 シャントトラブル
(閉塞、狭搾、出血、穿刺痛)
心筋梗塞、脳梗塞
腹膜炎、
カテーテル出口部感染、
被嚢性腹膜硬化症
両方

腹膜透析のことについて知りたい方は医師・看護師にご相談ください。

腹膜透析治療の流れ

まずは外来で事前に腹膜透析が安全に行えるかのいくつかの検査(CT・レントゲン・採血など)を行います。事前検査結果を確認し、入院予定(入院期間は約2〜3週間)を決めます。

腹膜透析用のチューブをお腹にいれる手術を行い、翌日から手動により1日3~4回透析液を貯留します。約1週間程度で手技を覚えていただきます。お腹に貯める透析液を徐々に増やしお腹の張りを慣らしていきます。

透析液の質と量を把握した上で、夜間の治療に取り掛かります。治療開始から後片づけ、警報音の対処等を覚えてもらいます。

退院前には訪問看護師も含めての会議を行います。ここでは退院後の生活や注意点を話し合います。概ね2~4週間で手技を習得して退院されます。

ICTを用いた遠隔モニタリングで透析治療経過や透析処方の変更が可能です

ICTを活用したシームレスな連携でアシステッドPDを行うことが可能です

PDファースト

「PD ファースト」とは、透析治療が必要になった際に「腹膜透析(PD)から始める 」という選択をすることです。透析治療を腹膜透析から始めることで透析開始後も血液透析(HD)に比べて長期間、尿が出ることが可能となり、残っている腎臓機能を保持できます。また、腹膜透析は自宅でできる透析なので日常生活をしながら治療を行うことができキャリアをあきらめなくても良いこともメリットです。

PDラスト

「PD ラスト 」とは、人生の終末期に「腹膜透析(PD)で終わる」という選択をすることです。透析を長く続けていると、心血管系の合併症 (心筋梗塞、弁膜症、心不全や脳梗塞など)や血管の劣化などで血液透析を続けることが難しくなる、加齢に伴うADLの低下で通院治療が難しくなる、など血液透析を続けることが困難になる可能性があります。その場合に腹膜透析に移行する選択肢があります。腹膜透析は血液透析に比べて心血管系への負担が少なく、また通院をせずに自宅で日常生活をしながら治療を続けることが可能です。人生の最期を自宅で迎えるために血液透析から腹膜透析に移行することが可能です。

アシステッドPD

アシステッドPD とは、身体および認知機能の低下によって自分で腹膜透析治療・管理ができなくても、家族や医療者(訪問看護師等)からの支援を受けながら腹膜透析治療・管理を継続していく方法のことです。

よくあるご質問

  • Q.透析液の交換(バッグ交換)の手順は難しいですか?

    A.

    操作自体は決して難しくありません。ご高齢の方でも、繰り返し練習することで、ほとんどの方が手技を習得することが出来ます。大切なことは、細菌で汚染されないように清潔操作を行うことです。患者さんご本人だけでは不安な場合には、ご家族の方にも手技を指導させていただいております。また、訪問看護師によるサポートも受けられる場合もあります。

  • Q.シャワーやお風呂に入ることはできますか?

    A.

    基本的にはカテーテル(管)や出口部が濡れないように、ビニール製の袋をお腹に貼り付けることで、入浴は可能です。出口部の状態が良ければ、出口部に袋をつけない(オープン)状態でシャワー浴することも可能です。

  • Q.腹膜透析を始めると、食事に気を付ける点はありますか?

    A.

    腹膜透析を始める際に、改めて個人個人にあった食事指導を受けていただくことになります。ここでは食事における注意するポイントを列挙します。

    塩分

    塩分摂取は極力控えていただき、腎不全保存期と同様に6g以下/日を目標にします。

    カロリー

    透析液にはブドウ糖が含まれるためカロリー摂取となります。カロリー摂取過多にならないように注意して下さい。

    カリウム

    腹膜透析ではカリウムが下がりやすい傾向にあり、制限は緩くなります。腎不全保存期に比べ、生野菜や果物などの摂取が許容される場合が多くなります。

    水分

    腹膜透析は残った腎機能(尿量)の維持しやすいことが特徴であり、尿量が確保できている場合は水分制限が緩やかになります。

    蛋白質

    基本的には蛋白摂取量(グラム)標準体重(キログラム) × 1.0 〜 1.2 )となります。保存期よりやや多く蛋白を摂取することが可能です。

  • Q.旅行はできますか?

    A.

    必要な物品と透析液を旅行先にあらかじめ手配(配送)、もしくは持参することで基本的にはどこでも旅行することが可能です。まだ腎機能がある程度残っている方であれば、一泊程度の旅行であれば、腹膜透析をお休みして出かけることも可能な場合もあります。旅行を計画するときはあらかじめかかりつけの医療機関のスタッフと早めに相談して交換スケジュールや注意点など確認しましょう。

  • Q.腹膜透析にかかる費用はどれくらいですか?

    A.

    人工透析を受けている慢性腎不全患者様は、血液透析であっても腹膜透析であっても、同様の医療福祉制度を利用することが出来ます。加入中の健康保険から特定疾病療養受領証を取得すると、人工透析に関わる医療費の自己負担が月1万円(所得によっては2万円)になります。また、身体障碍者手帳を取得するとことで更生医療や市町村が実施している障碍者医療費助成制度を利用でき、自己負担がさらに軽減される場合があります。

  • Q.日本ではなぜ血液透析に比べて腹膜透析が普及していないのですか?

    A.

    腹膜透析は腎不全の小児からご高齢の方までほとんどの方に適応のある透析療法です。日本では約1万人、世界中では約10 万人の方が腹膜透析を続けています。腹膜透析をうけているのは透析患者さん全体のなかで、ヨーロッパの多くの国では約20%、ニュージーランドやオーストラリアでは30-50%、香港では70%の方が腹膜透析を選択されていますが、日本での割合は5%未満に過ぎず、これは世界でも非常に少ない割合となっています。わが国の腹膜透析の普及率が低い理由としては、血液透析の施設が多く、通院に比較的時間を要さないこと、腹膜透析を実施できる医療機関、医療スタッフが血液透析にくらべて圧倒的に少ないことが最大の原因と考えられます。当院には腹膜透析の経験が豊富であり、利点を十分に熟知した医師、看護師がおりますので安心して腹膜透析をはじめていただけると思います。

  • Q.腹膜透析を行う場合に日常的に痛みはありますか?

    A.

    腹膜透析を開始した直後は、腹膜透析液貯留によるお腹のはりを感じる場合があります。また、お腹の中のカテーテル(管)が肛門の近くにあるための違和感、液の出し入れの時に軽い痛みを感じる場合があります。しかし、これら症状は苦痛となる場合はなく、1ヶ月以内にほとんど消失します。通常、治療を開始し安定したら、痛みを感じることはありません。

認定資格保有者

腹膜透析認定指導看護師 1名